ボディロッキンで激ヤバ

ワンパクでもいい。ボディロッキンで激ヤバであれば。

STAR WARS フォースの覚醒

面白かったですが、僕のエイブラムス嫌いは治りませんでした

 

 『STAR WARS フォースの覚醒』を観てきたんで、簡単なレビューをやります。

 が、僕は監督のJ・J・エイブラムスの作品はあまり好きではありません。ある意味、クローバーフィールドが一番良かったです。そして、最低ランクは『スーパー8』です。なので、あんまりためになるレビューではありません。

 また、STAR WARSの大ファンというわけではなく、ただただテレビでやっていたEP4~6を観つつ、EP1~3をお祭り的なノリで映画館に観に行ったくらいです。特にSTAR WARSグッズに身を包むこともなく、キャラクターの名前も主要キャラクターは覚えているものの、その他は特に調べていない、暗記しようともしていない、という感じです。そんな人間が、またしても祭り感覚で観に行きました。

 上記2点を踏まえた上でのレビューです。

 ネタバレ全開です。

 

 

 

 まず、面白かった点を4つ挙げます。

 

1、序盤の引きの良さ

 これは、いきなり出てくる例の文字情報と音楽。否応なく、「STAR WARSを観に来ました」という感覚を味わえます。その後の戦闘シーンも、銃の音が完全に旧作のそれ。STAR WARSを観に来た、という気分は最高潮。

 あと、絵的に凄い良いと思うシーンとして、ヒロインが最初に潜入している昔の帝国軍軍艦とか、壊れたAT-ATに住んでるシーンなども序盤にあります。これ以降は、特に絵的に良いシーンはないので、ここが一番良かったかもしれません。あとはまぁ、ルークみたいな「このままここで老いさらばえて死ぬのか、、、、」的なノリ。

 あと、あのミレニアム・ファルコンが動きまくってるシーンは、良いですよねぇ。現代のCG技術で動くファルコン号は素直に良かったです。

 

 

2、ハン・ソロ無双

 これはもう、ティーザーからそうでしたが、ハン・ソロが出てくるシーンは抜群に安定しています。これはハン・ソロというキャラクターが持っている魅力と、ハリソン・フォードがこういうやさぐれた役柄が、あまりにも合っているからだと思います。もはや本人そのまんまなんじゃないかと。

 この映画はハン・ソロが出てきて以降、もうほぼずっとハン・ソロがいます。いない時もなくはないんですが、出てないとあまり面白いシーンになっていません。ハン・ソロが画面に出てきて、なんか喋ってるだけで場面が保つ。それも正解ですしね。

 

 

3、会話の面白さ

 フィンとポーの掛け合いなどは、エイブラムスにしては会話が面白いな、とは思いました。この二人の脱出劇の部分はテンポよく進むので、アクション映画としてすんなりと楽しめます。ポーが善人過ぎる。

 ハン・ソロとチューバッカとの掛け合いも、バディものとしての良さが光る。

 

 

4、旧作オマージュの洪水

 これは、スタートレックのリブート作品もそうでしたので、今回もそうするだろうとは思いましたが、旧作へのオマージュや、旧作キャラクターの出演などが、洪水のようにぶち込まれています。酒場とか、兵隊とか、もう、オタクがワイワイ騒げるようになっています。ただ、それがわからないから面白く無い、というほどの物ではないので、別にそこはスルーしても大丈夫です。分かんなくても、この映画観た後に旧作を6作観たら、気づくか、分かるか、まぁ、なんとなく。

 

 

 この上記4点だけで出来てる映画です。

 大部分はハン・ソロです。言うなれば、お話もハン・ソロ家の話なんで、それは当然なんですけどね。

 ただ、これだけで十分面白いし、今回のお祭りで持ち上げられる神輿としては全く見劣りするようなものではないので、そこだけは保証します。

 

 

 

 じゃ、次に、減点というか、これはどうっだったのかな、ということをあげます。

 

 

1、キャラ造形の平坦さ

 例えば主人公の脱走。

 主人公フィンは「殺したくない」という理由でファーストオーダーから逃げ出しますが、実際には「死にたくない」で良かったのはないか、と思います。と言うのも、最初に正気に戻るシーンでは、仲間の死に怯えるところから始まるからです。そこから村人虐殺のシーンで銃を撃たない、というシークエンスに至るわけです。

 ただ、そこで「これ以上殺したくない」となるよりも、「死にたくない」となっている方が良かったと思います。しかも、それなら村人の虐殺よりもストームトルーパーの大量虐殺の方がいい気もしますが。絵的にも、ストームトルーパーの死骸が山のようになってるほうがいいのに、とは思いました。

 大体、「殺したくない」と言っておきながら、いきなり銃でさっきまでの味方殺しまくってて笑いました。そこはもう、終盤まで緋村剣心よろしく「殺さず」で行っても面白かったんじゃないのか。

 と言うか、途中からは「死にたくない」に変わってるんですよね。いつのまにか。最初は「これ以上はもう殺したくない」とか言ってるのに。ここら辺の脇の甘さというか、脚本の甘さがエイブラムス映画にはあるので、ぼくはそこがあんまり好きじゃないです。

 

 カイロ・レンにしても、情けなさがあるという風にするのは、全然構わないんですけど、もっと強いシーンが多くてもいいのに、とは思いました。というのは、情けないシーンの情けなさが半端ない情けなさをさらけ出しすぎだからじゃないかと。物に当たったり、基本的には他人に教えを請いまくっていたり(最高指導者とか、溶けたダースベイダーの仮面とか)。ダース・ベイダーは、ここで味方に当たるわけですよ。それでスゲーやつとか、残忍なやつとか、そういう印象を与えられるんですけど、多分それができないくらいには良い奴ってことにしたいんでしょうけどね。

 

 

2、絵的に凄いシーンはあんまりない

 良い面としてあげた、帝国軍艦隊の砂漠に墜落してるところとか、廃棄されたAT-ATに住んでるとか、最初のファルコン号の戦闘。それ以降で絵的に魅せるとか、撮影技法で魅せるシーンはあんまりありません。エイブラムスは、そもそもそういう監督じゃないので、当然といえば当然ですが。

 ただ、絵的には面白く無いと、説得力が感じられないというか、観てて飽きます。で、飽きないように何するかって言うと、基本的には命にかかわる事件を物語で起こす、というのがエイブラムス映画の流れだと思います。『スタートレック イントゥ・ダークネス』なんかは、10分に一回くらい命の危険が主要キャラに襲いかかってたように思います。歩いて横の部屋に移動するだけで危険に出くわしてたような。今回は、だいぶ緩和されてはいましたが、基本的には変わってないな、という印象です。もちろん、それは場が停滞するよりも良いのかもしれません。娯楽作品だし。

 

 あと、人物の映像的な描写がかっこ良くない。ハン・ソロにしても、あれはハリソン・フォードの演技がいいのであって、映像的に魅力を増幅させてるか、というと微妙な気もします。

 フィンがレイと初めて会って、目を見て何かを感じた、という所も、分かりやすくフィンがうろたえてるので「あ、なんか感じたんだな」という風に見えなくもないんですけど、それを視覚的に表現しないと、「こいつ、可愛い女の子見つけたな」くらいにも見えてしまうんですよ。もちろん、そういう含みがないとは言わないですけど、回想シーンなりなんなりで、こう、フィンから見たレイの印象を映像的に見せないと、すごい平坦な映画に感じてしまうんですね。例えば、凄い後光の中で、彼女の目だけが見えるとか。そういう神話的なシーンがあっても良かったんじゃないかな、と思いました。

 

 それに、エイブラムスは基本的な絵しか見せないのに加えて、今回のSTAR WARSはもともと旧作という素材がいっぱいあるので、それを基に似たようなものを作りまくればいい、ということになったんじゃないかな、と。で、旧作の凄いシーンって最早使い古されているシーンばっかりなので、そら凄いシーンはないよねっていう。というか、そこに作家性を求める監督ではないのかな、と思います。

 

 とまぁ、色々言いましたが、エイブラムス映画にイラッとしない人であれば、楽しめる映画だと思いますし、何の問題もない映画だと思います。

 実際、観ている最中は楽しかったですし、カイロ・レンのマスクも格好いい。というか、最後の殺陣でカイロ・レンが血の出てる腹を殴りまくってる動きは良いと思いました。素晴らしい。

 

 全体としては、75点です。