ボディロッキンで激ヤバ

ワンパクでもいい。ボディロッキンで激ヤバであれば。

大人の童話~『The Walk』を観て~

 『The Walk』を観てきました。2D字幕版です。

 ネタバレで感想垂れ流していきます。

 

 

 この作品は、ワールドトレードセンターを綱渡りした人の話ですので、そのシーンが一番すごかったです。と言うよりも、そのシーンだけの映画です。2Dで観てもビビりました。凄いな、と。

 「実際にこんなに行ったり来たりしてたのか」とか、「結構やっつけ仕事の割にきちんとやってるんだな」とか、「そもそも徹夜明けで体力凄いな」とか、映像的にもテンション的にもとにかく凄い。これはもう、主演のジョセフ・ゴードン=レヴィットの力が大きいと思います。演出ももちろん良いのですが、顔芸というか、緊迫感とその中にある茶目っ気、全てを語れる演技力はさすがだな、と思いました。

 この綱渡りシーンのためだけに、3D観てこようかな、と考えています。

 

 と、言うのも、他のシーンは全体として普通だからです。

 一応、実話にもとづいている話ですが、語り口は童話を読み聞かせるような印象でした。主人公がなぜか自由の女神の上に立ちながら、追憶の日々を語る、みたいな。それが既に「ダサッ」となる方にはアウトな作品ですね。僕はかろうじてこらえました。なんか、学校で『昔のアメリカ』みたいなビデオ観てるイメージですよね。

 なぜそうしたのか、と言うと、多分尺の問題と、よりファンタジックに語りたかった、ということがあると思います。主人公の若い時代からの話をなぞるので、時間が足りなかったんでしょう。ドキュメンタリーっぽく撮ったり、主人公と違う目線からの描写を多くすればするほど、煩雑な語り口になる、ということだったんだと思います。その点、主人公が語れば、内面描写も素早くできる、という感じでしょう。ただ、なぜ自由の女神の上で語らねばならないのか、という疑問は凄くあります。たぶん、アメリカというものを象徴したかったんだと思いますが。

 観ていて、ティム・バートンの『ビッグフィッシュ』っぽいなぁ、と感じました。大人のお伽話。最初にサーカスの話で始まるからでしょうか。仲間を増やしていくところも、善人しかいないというか、クズだけど良い奴、みたいな。あと、フランス人ならみんな友達、みたいなノリ。ここら辺は、アメリカの文化かもしれないですね。同郷の人で連帯感を持つ、みたいな。特に、この時代を描く上で「古き良きアメリカ感」を出すと、客が喜ぶってのはあると思います。

 仲間との潜入シーンは良かったですね。面白かった。JPのキャラは凄くいいというか、主人公の「丸めこめ」の一言でなんとかしてしまうとか、サミュエルL・ジャクソンもびっくりの交渉人ですよ。ただ、彼らがなぜそうまでしてたのかは不明でしたね。お金払ってたんでしょうか。ビルで働いてる人も「こりゃ犯罪だぜ、、、、、最高じゃねーか!」というノリで参加してましたが、そこまでして彼にメリットは何もないです。世に名前も出ないし、ワールドトレードセンターの屋上へのフリーパスももらえない。ただ、自分は何かを成し遂げたのだ、という誇りが彼を救ったのか。そこら辺も描かれてないし、原作にもないのかも知れません。この仲間たちのノリは、基本的に凄い面白かったし、作品をドライブさせることは成功していましたが、結局は中身の無い話に見えたことはマイナスかな、と思いました。

 

 なので、全体として観ると、ちょっと粗が目立つというか、ノリの良さで全部行ってしまったような映画に思えました。

 ただ、綱渡りシーンのためだけに観るってのは全然ありですね。

 個人的には、70点です。