ボディロッキンで激ヤバ

ワンパクでもいい。ボディロッキンで激ヤバであれば。

そろそろ骨休めもあると思います~『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』を観て~

 

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 『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』を観てきました。

 公開するという話を聞いた瞬間、「え、マジなのですか」と驚いた作品です。それは「え、原作のあれをやるの?」という驚きと「またザック・スナイダーにやらすの?」という二つの驚きでした。

 正直なところ、前作『マン・オブ・スティール』についての評価はあまり高くありませんでした。ザック・スナイダーは大好きな監督ですが、『300』と『Watchmen』の二つ以外は、あまりいい作品に仕上がったとは思っていないのが、正直なところです。『マン・オブ・スティール』については、新たな表現の仕方を獲得したように思いつつも、色々言いたいことだらけの映画に仕上がったと思います。あと、もうクリストファー・ノーランはよくないか、というのも正直ありました。

 それでは、ネタバレ全開で行きたいと思います。

 

 

 

 ざっくり言うと、いいところは100点満点で、それを除けば退屈な映画でした。

 当たり前のことを言っているようにも見えますが、この「退屈」という言葉は、かなり問題じゃないかな、と思います。

 まず、この映画、2時間近く、退屈なシーンしかないです。一応、時折戦闘シーンがあるんですが、ほとんどは最後に持っていくので、ほとんどバットマンもスーパーマンも戦いません。映像的なスペクタクルが若干あるかな、という感じですが。

 しかも、なんか戦闘シーンが出てきた、と思ったら夢オチなんですよね。2回位あったかなぁ。夢オチは2回も使われると冷めますよ。途中で「あ、これ夢だろうな」と思ったら「なんだ、また退屈な話に戻るのか」と急激に冷めるんですよ。映像的にかっこいいんですけど、「なんだかな」となるんですよねぇ。

 個人的に、もっとバットマンの戦うシーンを増やしても良かったんじゃないの、というのが正直なところです。後述しますが、ザック・スナイダーバットマン向けの監督だと思います。もっとザック・スナイダーバットマンが見たかった。

 あと、ジェシー・アイゼンバーグ。僕、この映画の前に『ゾンビランド』と『ソーシャルネットワーク』を観て、アイゼンバーグポイントを高めていったんですが、「おまえ、それソーシャルネットワークの演技じゃねーか」みたいに思いましたね。いや、よりソーシャルネットワークっぽくしたというか。そういうのも含めて好きなんですけどね。

 あと、ゴッサム・シティはどこにあるんだ問題とか、凄いノイズでしたね。地理的にはブルックリンでいいのか?

  なので、映画全体としての評価は、どうしても低くなってしまうというか、「ずっと面白い作品ではない」という風に言わざるをえないですよね。最後のバトルシーンも、面白いっちゃ面白いんですけど、『アベンジャーズ』一作目のあの最後のバトルシーンと比べると(比べるのも酷な話ですが)、弱いですよね。盛り上がらないというか。それは、前作『マン・オブ・スティール』と同じだと思うんですよ。なんかスゴイこと起こってるんだけど、よく分かんない、というね。

 

 次に、最高、というか、「これはイイ!」と映画館で拳を握ってしまったシーンは、【バットマンの出てくるシーン】と【戦闘中の会話】です。

 バットマンの表現は、今までの映画化の中で一番怖い演出をしています。特に初登場シーンなんか、ただのホラー映画でした。ただ、この演出はすごい良かったです。「バットマンは恐怖の対象であり、変態的であり、だからこそ全ての人から嫌われると同時に、悪を討つ」ということを表現できているのは、本当に素晴らしいと思います。

 

 

 また、バットモービル! バットモービルは、バットマンを描く上で切っても切り離されない存在かと思われます。バットマンの映画化に伴い、必ず新しいバットモービルは出てきます。それくらい、象徴的なガジェットの一つです。

 ティム・バートンバットモービルは、今となっては古い気もしますが、それでもあのデザイン性と「本当に火を噴く」という最高の馬鹿っぽさで、今でも見たらテンションぶち上がりです。様々なギミックも入っており、ある意味でサイドキック的な役回りだったとも言えます。

 クリストファー・ノーランダークナイトシリーズでは、リアル路線(というべきか、象徴主義というべきか)では、戦車のようなバットモービルが出ました。これはこれで、「こんなバットモービル観たことない」と、賛否両論が巻き起こりましたが、見た目のゴツさ、映画的な盛り上げ、そしてやはり火を噴く。最高や!

 そして、今回のバットモービルですが、見た目は、、、、あまりかっこよくありません。なんか平たいし、画面も暗いのでよく分かりません。ゲームのやつが基なんですかね。アッと驚く新しい仕掛けもありません。では、何が良かったのか。それは、「残忍性」です。

 先程も書きましたが、今回のバットマンは怖いというか、もはや残忍な人殺しになっているわけです。ティム・バートンバットマンも、どこか話しの通じない感というか、残忍さがあったかと思いますが、それを上手いことハイブリットしてる感じですね。というか、今回は普通に人を殺してます。あれで死んでなかったら、テロリストこそマン・オブ・スティールですよ。その残忍さで、容赦なく、恐ろしい鉄の塊が、訳の分からないギミックを駆使して襲い掛かってくる描写が、もう、バットマン映画史上でも類を見ないシーンに仕上がっていると思います。

 バットモービルでのチェイスシーンで敵の車にワイヤーを引っ掛けて引きずるシーンがありますが、その引きずり方が、なんというか、ゴジラが尻尾引きずってるみたいな、暴虐な無軌道を描いてるんですよ。それ観た瞬間、「うおっ」と身を乗り出してしまいました。これはいい、これはカッコいい、と。そして、それを敵にそのままぶつける。最高。

 バットマンはマーサ救出の戦闘シーンも良かったですね。夢の中での戦いはそうは思いませんでしたが、やはり大人数を相手にして、ギミックと腕っ節で戦う姿はかっこいいの一言です。ここら辺の描き方が、ザック・スナイダーは上手いと思います。『300』ほど外連味のある映像ではありませんでしたが、人間らしい戦いっぷりと残虐性が増していることで、エモさすら感じます。ここら辺は、ノーラン版のバットマンの良さが入っているのかな、と。ティム・バートンバットマンにはなかったことですね。あれは、もはや人間ではなかったですしね。

 スーパーマンとの戦いは、まぁ、悪くなかったです。原作が、一発殴ることにあそこまでコマ数というか、テンションを持っていったことに比べると、若干弱かったかな、と思います。「人間はこうやって大人になるもんなんや」とかカッコつけるバットマンではなく、ただ怒り狂ってるバットマンなので、ちょっと違うのかもしれませんが。

 ちなみに、ベン・アフレックバットマンは、意外と悪くなかったです。ベン・アフレックは、基本的に何考えてるかわからない軽薄な人間やらせたら良い演技します。ていうか、そういう人なんだと思います。ヌボっとしてるというか。なので、今回のブルース・ウェイン役も良かった思いますが、どっちかっていうとレックス・ルーサーでも良かったんじゃないの、という思いも。ジェシー・アイゼンバーグが悪かったという意味ではありませんが。

 

 もう一つの良かった所は、戦闘中の会話ですね。これはね、すごい良かったです。

 敵対しているバットマンとスーパーマンの会話もええ感じでしたが、最後のワンダーウーマン絡みの会話はギャグ感満載で、すごいドライブしてました。「お前の連れか?」「いや、お前やろ」というノリ。ここで一気にエンタメ感が増して、最後のバトルを楽しくしていました。

 最後のバトルは、あまり一緒に戦ってる感が無いようにも思いましたが、この会話入れるだけで、なんか仲いい感も出てたし、うまいなぁ、と思いましたね。あと、バットマンのあまり役に立っていない感。いいですよね、ああいうの。キャプテンアメリカのポジション。もっと走ったらいいのに。

 

 

 

 とまぁ、言いたいことはいっぱいあるけれども、良い所は凄く良い、という感じでした。

 また、もう一人の主人公であるスーパーマンの活躍の仕方も、扱いが難しい感じでしたね。基本的に、スーパーマンはアベンジャーズでのハルクやソー的な役回りというか、「こいつが出てきたら基本何でもあり」という人なので、こういうお祭り的作品であまり主役でブイブイいわせるのが難しいのかな、というのも正直なところです。ただ、主役でブイブイ言わせても良かったはずの前作で、全くブイブイ言わせなかったことの罪も大きい気もしますが。そういう意味でも、クリストファー・ノーランには一旦お休みして欲しいところですね。

 それよりも、上述したような新しい味を出したバットマンを、もう少し味わってみたいですね。スピンオフ、、、にしては、ビッグタイトルになってしまうのでないとは思いますが、なんかやって欲しいですね。

 色々述べましたが、個人的には80点です。