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ボディロッキンで激ヤバ

ワンパクでもいい。ボディロッキンで激ヤバであれば。

【ネタバレ】ジェダイのいないSTAR WARS~『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』を観て~

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 話題作しか揃っていない2016年の中で、最後にやってきた話題作だと思います。アメリカ版の『GODZILLA』をきちんと作りきったギャレス・エドワーズの手腕もあるので、わりとのんびりとした気持ちで見に行きました。

 徒然と感想を書きます。

 

 

 

・戦闘シーンと音楽はマジでいい

 この映画の良い点は「戦闘」と「音楽」に尽きる。特に、戦闘シーンの爽快感だけで持っていると言っても過言ではない。

 ドニー・イェンの盲目戦士の強さはもうギャグを通り越して神話の世界に突入しているし、最後のダース・ベイダーのシーンは完璧の一言。暗闇の中、一瞬の静寂の後、ライトセイバーの刀身が伸びる音とともに現れるダース・ベイダーの姿。ゾクリとするほどの美しさの後、凄惨な殺戮劇が待っている。素晴らしい。

 音楽に関しては、元のSTAR WARSの音楽をリミックスしつつ、非常に高揚感のある曲展開で凄く良かった。いつもの曲かな、と思わせておいて、まさに希望に溢れながらも悲しさすらもある旋律が流れ、この映画の結末を暗示させている。

 

・地味にいいのが会話

 この映画、小気味よいギャグパートが多い。会話の端々に皮肉を詰め込んでいて、それを聞くのは楽しかった。特にロボットの、思ったことがそのまま出てくる感はC3POのようで良かった。

 

・ストーリーは詰め込みすぎ

 この映画の物語は簡単に言うと、主人公が道中、色んな人の助けを借りながら、デススターの設計図を手に入れ、それを反乱軍に命をかけて送り届ける、というもの。これだけ読めばシンプルなストーリーに思えるのだが、この映画、それだけの話をかなり難しく語ろうとする。

 特に序盤、帝国軍の強制労働収容所にいる主人公を助ける下りと、フォレスト・ウィテカーのシーンなどが複雑に絡まり合い、物語が頭に入ってこない。単純に情報量が多く、尚且つ整理できていないように感じた。

 また、フォレスト・ウィテカーを探しに行くシーンも、後から考えると要らなかったようにも感じる。というのも、あそこで主人公が父を亡くすことが、後になってあまり活きていないからだ。実の父と、育ての父を亡くしたことに対し、主人公はあまり心を割いているように見えない。というより、話がガンガン進行するので、それについていっているだけに見える。

 殺すなら、意味のある殺し方をするべきだし、その死によって主人公の感情を動かすべきだ。何の装置にもならないのなら、殺さないか、もしくはもう父親でもなんでもない人にしておけばよかったのではないか。ただ、どっかの星でパイロットを帝国に売ろうとする奴とか。パイロットを拷問するシーンも、別にいらなかったし、物語に何の意味も与えなかった。

 

・トレーラーであれほど格好良く言っていた「May the Force be with us」も映画内で聞くと全く印象が違う。

 というか、格好良く見せているのに「いや、べつに、そんなに、、、、」という風に感じる。

 なぜなら、別に主人公はその発言に対して特に嫌悪感を抱いている描写がないので、「なんか言ってる」だけにしか見えない。その前に、ドニー・イェンに対して「その言葉は嫌いよ」とでも言っておけばいいのに、その一言も無い。「フォースなんて大嫌い」という感情があれば、主人公がそのセリフを言うことに何かしらの意味や感動が生まれるが、映画本編では特にそれはない。

 

・そもそも、主要な登場人物が微妙に多い

 その割に、各々の見せ場をきちんと用意しているので、こちらとしては感情移入があまりできていない人物が、やけに情緒的に死んでいくなぁ、と感じる。あと二人くらい削れば、この分量でもちょうどいいと思う。パイロットはいらなかったのでは、と思う。もしくは、ロボットと合体させてしまっても良かったかもしれない。

 それぞれのキャラに魅力がないわけではない。ドニー・イェンだけでなく、ペアのチアン・ウェンのキャラも魅力だし、もちろんロボットもパイロットも魅力はあるし、見せ場がもっとあってもいいのに、と感じるくらいにはうまい描き方をしているとは思う。しかし、時間が圧倒的に足りない。魅力的だからこそ、足りない。ローグワン自体も、二部作くらいの情報量があるなぁ、と感じた。そう感じさせるのは、やはり情報の交通整理が足りていないからだと思う。

 

・魅力的なキャラが多いのは、立ち位置がしっかりしているから

 パイロットにせよ、キャシアンにせよ、STAR WARSの世界におけるバックボーンがしっかりしているから、少ない情報で深みのある人物を描くことに成功している。例えば、キャシアンの存在は、今まで善玉としてしか描かれていなかった同盟軍における暗部である。もちろん、帝国軍のような極悪非道の巨大組織に立ち向かうには、汚れ仕事を行う必要がある。では、誰が行うのか。

 それこそ、同盟を組んだ様々な星の孤児などが、大義のために躾けられ、同盟の暗部として裏で働いていてもおかしくはない。

 そう思わせるだけの深みがSTAR WARSという物語には既にあるので、そこに光を当てることで、彼らの戦う理由についても一瞬にして理解できる仕組みになっている。彼らは彼らで、戦うことにしか生を見いだせない、悲しい存在なのだ。だからこそ、「ストーム・トルーパーと同じだ」という言葉が刺さるのだ。それは、ある意味で真実だからだ。彼らが大義と信じるものがなくなれば、彼らは帝国軍と変わらない。

 パイロットもまた、STAR WARSという物語の深みの中に存在する人物だ。あれだけの巨大な勢力の中、一人や二人、まさしく正義の心に目覚めるものがいてもおかしくはないし、そこら辺もリアルだ。だから、彼が善良な心に目覚め、反乱軍に入っていくのは、ある意味でキャシアンとの対比にもつながる。とは思うが、特に触れてはいなかった。

 

・戦争シーンも良かったが、あまり頭がいい感じがしない

 最後の戦艦に体当りするシーンも、頭悪いだけにしか見えない。「最初からやれよ」と思ってしまう。

 というのも、あのシーンを描くなら、ぶつかる前に「俺は死んでもいいから!」みたいなことをあの船の誰かが言うべきだし、艦隊の長も「そんなバカな真似はよせ!」とでも言えばいいのに「ワシにいい考えがある」って、日本の特攻みたいなことを良策みたいに扱ってて、ちょっと行き当たりばったりすぎるように感じた。

 そもそも、あのシーン自体が、この映画における根幹であるべきだ。フォースを持たない人間が、帝国という巨大な敵に向けて、いったい何ができるのか。それを表現している素晴らしいシーンなのに、描き方によっては間抜けにしか見えない。

 

ジェダイがいない、という物語としての整合性

 この映画の根幹というのは「ジェダイがいないSTAR WARS」だと思う。それは何かというと、「小さな力しか持たない普通の人間たちが、それぞれの出来る最大限の努力をしつつ、命をかけて、希望をつないでいく」という話なのだと思う。

 ジェダイがいれば、超能力で切り抜けられることも、普通の人間では出来ない。ならばどうするか。命をかけるしかない。もしくは、頭をつかうか、ある意味で非道なことをするしかない。

 だからこそ、船を敵艦隊にぶつけるという作戦はその最たるものであり、もっとクローズアップされるべきだった。あのシーンをより情緒的に描けば、この映画を作る意味もあったと思う。

 そういう意味では、キャシアンの存在がもっと前に出て欲しかった。彼の存在は、まさにジェダイがいないSTAR WARSにおいての、主役になってはいけない主役として、もっと輝くべきだった。まさしく、彼が一番フォースから遠い人間なのだ。

 物語の冒頭でキャシアンが、息を吸うように人を殺すシーンがある。あのシーンから連想されるような物語こそ、この作品には必要だったのではないか。そんな彼が、「フォースと共に」と呟くことのほうが、個人的には物語として自然に感じる。主人公よりも、キャシアンの方が「フォースなんか知るか」「こっちは汗水たらして、血反吐はきながら暗殺しとるんじゃ」という思いは強いはずなのだ。だが、そんな彼の中にも、言わばフォースの力は働いているし、それがSTAR WARSという世界を貫いているはずだ。

 それに比べると、主人公が持っている重いというのが軽く見えてしまう。もちろん、主人公は「希望を運ぶ」という役割を体現はしている。彼女の存在を、みんなが運んでいく、というそのプロット自体は悪いものではない。名作『トゥモロー・ワールド』における赤ん坊のような存在として。だとしたら、もっとそこにフォーカスすべきだったし、彼女が何を運んでいるのか、それについてもっと考えさせるような会話や、演出を盛り込むべきだった。

 自分が何者なのか、父親が何を残したのか、育ての親が何を言ったのか、そして自分を導く男たちは何を求めて戦っているのか、主人公はそれに対してあまりにも無頓着だったし、何かを考察する余裕もなく物語が進行しているように感じた。

 

 本当に、戦闘シーンについては凄いいいので、そこだけ観るなら凄くおもしろ映画だと思います。ただ、凄い面白いシーンだけにすると、20分くらいしか見どころのない映画になるような。

 まぁ、映画なんてそんなもんか。